モルタルは、建築工事や土木工事において、いろいろな用途に用いられます。では、モルタルとは具体的にどういった特徴を持つ素材なのでしょうか。
この記事では、モルタルの概要や、モルタルを使用する際の注意点、使用してはいけない場所、モルタルのメリット・デメリットなどを解説します。
モルタルとは
土木工事などで活用されるモルタルですが、そもそもモルタルとは何なのでしょうか。
モルタルの材料と種類
モルタルは、一般的にセメントと呼ばれるポルトランドセメントに砂を主成分とする細骨材を加え、水で練り合わせたもののことです。簡単にいうと、モルタルの原材料はセメントと砂と水になります。正式には「セメントモルタル」と呼ばれ、多くの工事で広く活用されています。
その他にも、生石灰と砂と水を混合した石灰モルタルや、石膏などが原材料のプラスターなどがあり、これらはモルタルの中でも白い色をしているため、仕上げ材として使われています。
セメントとの違い
前述の通りセメントは、モルタルの原材料となるものです。水や液体などと反応して硬化する材料で、モルタルのほか、コンクリートなどにも使われています。
一般的にはセメントというと「ポルトランドセメント」を指し、主な原料は石灰石、けい砂、粘土と鉄を含んだ酸化物です。
コンクリートとの違い
コンクリートは、モルタルの原料となるセメントと細骨材(砂)と水に、さらに粗骨材(砂利)を加えたものです。直径5mm以上の石が入ったものが砂利です。セメントの含有率が低いため、モルタルよりもコストが抑えられるという特徴があります。
強度の違い
前述のとおり、セメントに砂利や砂を配合し水で溶かすとモルタルやコンクリートになります。つまりセメントがベースとなり、セメントに砂利や砂を配合することで強度に違いが出てきます。
コンクリートは、モルタルやセメントと比べて配合材料が多く、建物の基礎として使用されるため、この3つの中では強度が一番強い素材となっています。次に強度が強いのはモルタルです。モルタルはコンクリートに含まれる砂利が入っていないため、基礎材として使われるというよりは、仕上げ材として用いられることが多くなっています。
3つの中でもっとも強度が低いのは、モルタルやコンクリートを作るためのベースとなるセメントです。
以下、モルタルとセメント、コンクリートについて表で簡単にまとめました。
セメント (※ポルトランドセメント) | モルタル (※セメントモルタル) | コンクリート | |
---|---|---|---|
配合物 | 石灰石 けい砂 粘土と鉄を含んだ酸化物 | セメント 細骨材(砂) 水 | セメント 細骨材(砂) 水 粗骨材(砂利) |
強度 | 低 | 中 | 強 |
用途 | 原材料 | 仕上げ | 基礎 |
モルタルのメリット
では、モルタルを使用することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく解説します。
自由度が高く仕上がりもきれいになる
モルタルは、いろいろな形にして固めることができる素材のため、デザインの自由度が高いのが特徴です。壁面などに繋ぎ目なく塗りつけることができ、仕上がりは陶器のようにきれいになります。
耐火性に優れている
モルタルは耐火性に優れているため、万が一の火災発生時にも活躍します。建築工事時に防火措置をとる場合、仕上げ材がモルタルであるということで有効な対策となります。
壁が熱くなりにくい
モルタルは熱伝導率がガラスと同等で1.5W/mKと低く、熱伝導率が高い金属部分と比較すると壁表面が熱くなりにくいというメリットがあります。そのため壁内面に熱が伝わりにくくなり、夏場の室温の上昇を抑える効果も期待できます。
扱いやすく施工性が高い
モルタルは、ペーストの状態で壁面などに塗って施工するため、素材を積み上げて施工するレンガやブロックなどに比べて施工性に優れています。補修を行う際も必要な分だけモルタルを準備すれば対応でき、比較的簡単に修繕できます。
モルタルのデメリット
多くのメリットがあるモルタルですが、デメリットもあります。続いてモルタルのデメリットをご紹介します。
ひび割れしやすい
セメントは化学結合により硬化しますが、年数が経過するほど結合が弱くなり、結果的にひび割れを起こします。セメントを含むモルタルも、年数が経つごとにひび割れしやすくなる傾向にあります。
デザインによっては汚れが目立ちやすい
モルタルはデザイン性が高く、表面に凹凸をつけるような自由な仕上げを行うこともできます。ただし、デザイン性を高めた外壁は表面にほこりや汚れが溜まりやすく、汚れが目立ちやすいといったデメリットもあります。仕上がりの色によっても汚れが目立つ場合があります。
職人の技術力によって仕上がりが左右される
レンガやブロックは施工の見た目に大きな差は出ませんが、モルタルは自由な仕上げが行えるため、職人の技術力によっては芸術的に仕上げることもできます。逆にいうと、職人の技術力によっては思い描いていたような仕上がりにならない場合もあると言えます。
施工期間が長い・定期的なメンテナンスが必要
モルタルはペースト状の材料を現地で手作業で施工することになり、必然的に作業に時間を要します。また、塗ったモルタルを固める時間も必要になるため、施工期間が長くなる傾向にあります。さらに、ひび割れ補修など定期的なメンテナンスも必要になります。
モルタルの用途と使用方法
メリットやデメリットを理解したところで、モルタルには具体的にどのような用途や使用方法があるのかを見ていきましょう。
モルタルの用途
モルタルはコンクリートと異なり、建物の基礎として使われることはありません。主に仕上げ材料として外壁などの表面材料として用いられたり、接着効果をいかして接着剤として利用されたりします。また、レンガ同士をつなぐ接着材として活用されることもあります。
モルタルの使用方法
モルタルは、現場でセメントと砂と水を配合するか、セメントと砂が配合された状態で販売されている「セメント材」に水を混ぜて作る方法があります。ペースト状のモルタルができあがったら、それを外壁などに塗布していきます。レンガなどの接着剤として使用する場合は、レンガを並べた間にモルタルを充填するような形で塗布していきます。
モルタルを作るとき、使用するときのポイント
モルタルを現地施工する際にはいくつかの注意点があります。そのポイントをご紹介します。
作業の直前に作る
モルタルは液体材料ですが、水を加えると硬化が進みます。そのため、保存する際には水を加えないモルタル材の形で保存し、作業直前に水を加えてモルタルを作る必要があります。数日かけて作業を行う場合でも、モルタルはその日に使用する分だけ作るよう心掛けることが大切です。
配合は天候や使用用途によって変える
モルタル材は、セメントと砂の比率により必要な水の比率が細かく変わります。施工時に配合しますが、水の量は現地の天候や温度、湿度などにより微調整が必要です。実施の仕上がりにも影響するので注意しましょう。
取り扱いに注意する
仕上げ施工中にモルタルの液体が手につく、目に入るなど体内に入ると、セメントのアルカリ成分により皮膚などに炎症が起こります。モルタルの仕上げを行ったあとは関係者以外立入禁止にするなど、子どもや部外者が触るようなトラブルが起きないように注意しましょう。
使用した道具はきちんと手入れをしておく
モルタルの表面をならす際には鏝(こて)などの道具を使いますが、前述の通りモルタルは固まりやすい性質を持っています。使った後の鏝をそのままにしてしまうと、次に使う際に固まったモルタルをとる手間がかかるので、使った後には水洗いをするなど、道具の手入れをきちんと行いましょう。
まとめ
モルタルは、仕上げ材や接着剤として、建設工事や土木工事に幅広く用いられるものです。デザイン性を盛り込むこともできるなど、身近でありながら非常に奥が深い材料といえるでしょう。
ここでご紹介したモルタルのメリット・デメリットをきちんと理解し、ぜひ建設工事や土木工事の世界で活躍する際のヒントにしてください。
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